介護の仕事をしていると入浴拒否ってありますよね。
入浴拒否がデイサービスで困るのは基本は家で入れる環境がないから入浴をしているため、その日(決まった曜日に通われている)入れないとサービスの意味が半減してしまう。
一方入所施設だと、日をずらす事はできますが週2回は入ってもらわないといけない事と「入る」だの「入らない」だの言っている内に時間だけが経過してしまい他の方の入浴時間がとれない(他の方と時間の約束をしている場合もあるのでその方にも迷惑をかけてしまう)という所でしょうか。
さて本題です。認知症の方は何故かお風呂が嫌い?(個人の主観)
新人の頃、入浴拒否をされて困る方がいました。
年代は80代位。男性。認知症の進行されていますが体は元気な方でした。何かと怒りやすく、かといってその場所では一応生活をしてくれる。
入浴はしっかりと声かけをしても拒否されましたし、様々なお試しを皆でしてもダメでした。
どんな方なんだろうと考えた時に妙案が浮かび、入浴拒否も限界だった日に実行にうつしました。
私が考えた作戦は声大き目、テンション高め、低姿勢で「先生。耳寄りな話が、こんあ所で立ち話もなんなんで」と脱衣所にお連れする方法でした。
一度入ってしまうとしっかり長湯までする方なんで、耳寄りな話は何だと聞かれませんでしたが聞かれたら「今日のおやつは・・」とメニューをお答えしようと思っていました。
この勢いでその方を脱衣所にお連れする作戦は職員に広がり入浴担当で無いときも「例の声かけお願い」と入浴担当に脱衣所までお連れする係になりました。
利用者に飽きられたときに違うパターンを考えたり、違う日は思ったよりテンション高く声かけできなかったり。
ポイントは勢いで入浴してもらう事で無く、相手がどんな態度でどんな声かけなら、とりあえず脱衣所には来て最終的に入浴してもらえるかを新人なりに考えた事だと思います。(家族が見ていてもその方の場合、多分私はこの作戦をしていました)
新人とはいえなくなった立場になるにつれ、こんな事出来なくなりましたね。
適切かどうかもわかりませんでしたし、本来何故入浴をしたくないかをしっかり聴いて根拠ある対応をするべきでしょう。
しかし時として認知症ケアで相手に何かをしてもらう時(今回はお風呂に入ってもらう)は雰囲気作りが重要な事が往々にしてあります。
私は見た目も真面目なタイプなんですが真面目にあたかもふざけている様な事をしてしまう節が当時あったんです。
何年も前の事ですが振り返って今でも思うことは、利用者に対して入浴しないことを責めるより(入所だと実際にいます)そして自尊心を傷つけない様に務めた事は全然よかったと思います。
入浴拒否で入ってもらえる魔法の言葉は今もありません。
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