「8050問題」。80代の親が、自宅にひきこもる50代の子どもの生活を支え、経済的にも精神的にも行き詰まってしまう状態のことを指しています。
では「50」はなぜ引きこもるのか。
雇用の変化
団塊ジュニア世代が就職活動の時期を迎えた1990年代前半以降経済的な不況で新卒者を採用しない会社が増えていた。フリーターや派遣労働者にならさる得ない時代だった。
それ以降も企業の多くはリストラ等の経費削減に踏み切り非正規労働者にならざる得ない方もいた。男女とも未婚率が増えた。
正規職員を維持するためには過酷な労働環境や過酷なノルマが強いられた。
パワハラやセクハラも起こりやすくなり、傷つき疲弊した者が自衛の為にひきこもざる得なくなっていった。
一概にはいえないが実は「正社員で働いた経験がある」引き込もリ団塊ジュニアは多い。
働いてない期間が長引くと雇用してくれる職場も少なくなる。
自己責任論
もちろん努力は大事です。努力する場所とタイミングも大事です。
努力する場所を間違えると、努力の総量と同じようには報われません。
体を壊したから、精神的な病気になったからお金が無い。
生活保護はなかなか対象になりません。親・親族・兄弟 誰か頼る人はいないのかと。
本当に生活が立ちゆかなくなっても働ける状態でなくなっても保護の対象にはなりにくく若者の貧困は生まれています。まだ若いから働けるだろうと。
少子化・晩婚化・若者の貧困は団塊ジュニアの責任ではありません。
61万人のひきこもり中高年者数は根性や頑張りが足りないからというだけでは片付けられないものです。
就労支援
これまでは39歳までが対象でした。
40歳以上の人は窓口に相談に行くことも出来ませんでした。(もっとも政府は地方公務員の定年引き上げと働ける人口にはどんどん仕事を作りそうな気配ですが)
現在は自治体の相談窓口(ひきこもり地域支援センター、各自治体のひきこもり相談窓口、生活困窮者自立支援制度の窓口)
に相談ができるようです。
親の介護が必要になったら:介護者も相談出来るのが在宅介護です。
介護に携わる人に困っている事を正直に相談出来るようにしておく事が大事です。
介護に携わる人は困っている事を聞いたら、その場では解決出来なくても持ち帰り上司や周囲に相談して解決策を模索するのが仕事です。
介護は1人で頑張る事はあまり推奨できません。若者の貧困や中高年の引きこもりとは問題が違うとはいえ高齢者介護はまだ各種サービスが機能しています。
引きこもりへの理解
自立でも就労でもなく生き方への支援へ行政も変化しつつあります。
悩みや苦しみ生きにくさは人それぞれ。中には成長の過程で見落とされてきた障害がある方もいると思います。経緯やこれまでの生き方は人それぞれ。
新型コロナの影響でステイホームや在宅ワークと昔と違い出勤しない仕事も増えています。これからどう生きたいのか。真剣に本人と考える事が出来れば変化はしていくと思います。
団塊世代は自分の子がひきこもりの状態にあることを「子育てに失敗した」とか「恥」「いい年して無職」と捉えてしまい、周囲に隠す。親子で孤立してしまうことも「8050問題」をより深刻化させています。思う事はあると思いますが時代と価値観の変化だと思った方が楽です。
引きこもり支援という民間業者が家から無理矢理施設に連れ出すサービスもでてきています。家族関係が壊れたりトラウマで引き込もりの精神状態を強くさせてしまうケースが増えています。
数百万円かかる事もあるようですから追い込まれてはいるのでしょうが、50になる大人に荒療治は効果的ではないように思います。
それでも精神的に追い詰められているんですよね。
自治体の相談窓口活用して見てください。
8050問題は9060問題のはじまりですから。
自分になにかあったらと担当者の連絡先や残せるお金があるならこれ位でと話しておく事も視野にいれておくといいと思います。(50歳近い引きこもりであれば)
そして意思決定できるうちに延命治療に対する意思も。
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